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November 2025: Gemini 3, Crashlytics MCP, Data Connect Admin SDKs

再生時間

7分 3秒

Firebase 2025年11月リリースノート詳解:AI、Data Connect、アプリ品質の進化

ポイント

  • Firebase開発者向けに、2025年11月のリリースノートにおけるAI機能の劇的な強化とバックエンド開発の効率化を詳解します。
  • Gemini 3 Proのモバイル・Webアプリへの統合や高度な画像生成、AIアプリの安全性を高めるサーバープロンプトテンプレートを紹介。
  • Data Connectの新機能、AIを活用したCrashlyticsデバッグ、BigQuery連携でアプリの品質向上と開発加速に役立つ最新情報を提供します。

Firebase 2025年11月リリースノート詳解:AI、Data Connect、アプリ品質の進化

Firebaseは、開発者の皆様のアプリ開発を加速させるために、常に進化を続けています。2025年11月も例外ではなく、Googleの最先端AIモデルであるGemini 3の統合、待望のバックエンド機能、そしてAIを活用したデバッグツールの新機能など、多岐にわたる重要なアップデートが発表されました。本記事では、これらの最新情報をプロのテクニカルライターの視点から詳しく解説し、皆様のアプリ開発にどのように役立つかをご紹介します。

Firebase AI Logic と Gemini 3 の統合

Gemini 3 Pro のモバイル・Webアプリへの提供

Firebaseは、Googleの最先端AIモデルであるGemini 3 Proの力を、Firebase AI Logicを通じて直接皆様のモバイルおよびWebアプリにもたらします。Gemini 3 Proは、あらゆるアイデアを現実のものにするGoogleで最もインテリジェントなモデルであり、Firebase AI LogicクライアントSDKを介してモバイルおよびWeb開発者が利用できるようになりました。

Firebase AI Logicは、Gemini 3 Proの多くの機能をサポートしています。これには、思考能力の向上、関数呼び出し機能、思考シグネチャ、そして入力メディアの新しいデフォルト解像度が含まれます。特に、入力メディアのデフォルト解像度機能は、マルチモーダルビジョン処理における制御をより詳細に可能にします。思考シグネチャや思考レベル、そしてFirebase AI LogicでのGemini 3 Proの利用開始方法については、関連するブログ記事やドキュメントで詳細をご確認いただけます。

Gemini 3 Pro Image (Nano Banana Pro) の登場

Gemini 3 Proに加え、Firebase AI Logicを介してGemini 3 Pro Image(通称Nano Banana Pro)にもアクセスできるようになりました。これはプロフェッショナルなアセット制作や複雑な指示に対応するために設計されており、以下の特徴を備えています。

  • Google検索による実世界に基づいた情報取得: より現実的で関連性の高い画像を生成します。
  • 生成前の構図洗練: デフォルトの思考プロセスにより、画像を生成する前に構図を洗練させます。
  • 最大4K解像度の画像生成: 高品質な画像を生成できます。

これらの機能により、開発者はより高度な画像生成と処理をアプリに組み込むことが可能になります。

サーバープロンプトテンプレートによるAIアプリの安全性向上

AIを搭載したアプリケーションの運用をより安全にするための便利な機能も追加されました。アプリ内にAIプロンプトを組み込んでいる開発者の方々には、サーバープロンプトテンプレートのサポート開始は朗報でしょう。これにより、アプリ内にプロンプトをハードコーディングする代わりに、それらをバックエンドに移動させ、定義したテンプレートIDを使用してクライアントから呼び出すことが可能になります。

FirebaseコンソールのAI Logicセクションには、新しいタブが追加され、サーバープロンプトテンプレートの作成、編集、管理が行えます。さらに、テンプレートIDをFirebase Remote Configのパラメーターとして保存すれば、ランタイムでアクティブなテンプレートを取得できます。これにより、新しいアプリバージョンをリリースすることなく、異なるプロンプトのA/Bテストを実施したり、新しいモデルの動作を即座に展開したりすることが可能になります。サーバープロンプトテンプレートの詳細については、公式ドキュメントをご覧ください。

iOS Swiftモジュール名の変更

iOS開発者向けの注意点として、Swiftモジュール名が「Firebase AI」から「Firebase AI Logic」に変更されました。現在のところ、この変更は非破壊的ですが、将来の互換性を保つために、コードベースのインポートを更新することをお勧めします。

Data Connect の新機能

ユーザーからのフィードバックに応え、Data Connectに2つの主要な機能が追加されました。

イベントトリガーによる自動処理

Data Connectでミューテーション(データの変更操作)が実行された際に、Cloud Functionsなどのサーバーサイドコードを自動的にトリガーするように設定できるようになりました。これは、ユーザーがプロフィールを作成した直後にウェルカムメールを送信するといったシナリオに最適です。この機能の仕組みとアプリでの活用方法については、関連するブログ記事やドキュメントをご確認ください。

生成型Admin SDKs

GraphQL定義から型安全なNode.js Admin SDKsを直接自動生成できるようになりました。これにより、バックエンドロジックの記述がより安全かつ迅速になります。この機能の詳細なガイドは、Data Connectのドキュメントに記載されています。

Cloud Firestore の強化

データベース関連のニュースとして、Cloud Firestoreの「データベースクローン」機能が一般提供(GA)されました。この機能を使用すると、既存のデータベースを新しいデータベースに簡単にクローンできるため、ステージング環境のセットアップなどに非常に便利です。

アプリ品質とデバッグ機能の進化

Crashlytics MCP ツールによるAIを活用したデバッグ

Firebaseは、デバッグ方法を大幅に強化しています。Gemini CLI CursorやCloud CodeといったAI搭載のコーディングツールを使用している場合、Crashlytics Model Context Protocol (MCP) ツールとプロンプトを利用できるようになりました。これにより、自然言語プロンプトを使用して、AIコーディング環境内でCrashlyticsの問題を直接管理、優先順位付け、デバッグ、さらには修正することが可能です。

Firebase Sessions データと BigQuery へのエクスポート

また、Firebase SessionsデータをCrashlyticsデータとともにBigQueryにエクスポートする機能も有効になりました。この新機能により、より高度なセッションベースの分析やクエリが可能となり、アプリ全体の信頼性をより深く理解することができます。

Test Lab のアップデート

Test Labにもいくつかのアップデートがあります。

新規デバイスのサポートとデフォルトデバイスの変更

  • iPhone 16 ProおよびiPhone SE 3のサポートが追加されました。特に、iOS 18.3を実行するiPhone 16 Proは、iOSテストのデフォルトデバイスとなりました。
  • 今年初めに非推奨とされた一部のデバイス(iPhone 8、iPhone 13 Pro、iPhone 15、iPhone 15 Pro)は削除されます。テスト環境の変更については、リリースノートで最新の情報を確認してください。

まとめ

2025年11月のFirebaseリリースノートは、AI機能の劇的な強化、バックエンド開発の効率化、そしてアプリ品質とデバッグツールの進化に焦点が当てられていました。Gemini 3の統合は、モバイルおよびWebアプリに最先端のAI機能をもたらし、サーバープロンプトテンプレートはAIアプリの管理と安全性を向上させます。Data Connectのイベントトリガーと生成型Admin SDKsは、バックエンドロジックの開発を加速し、Cloud Firestoreのデータベースクローン機能は開発者の生産性を高めます。また、CrashlyticsのAIを活用したデバッグツールやBigQuery連携は、アプリの信頼性向上に貢献するでしょう。これらのアップデートを最大限に活用し、より高品質で革新的なアプリケーション開発を目指しましょう。

参考動画

  • Firebase Release Notes | November 2025: https://www.youtube.com/watch?v=kKI3WfufXfY