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Next.js at the speed of Bun

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18分 51秒

Next.jsアプリを限界突破!BunランタイムがWebパフォーマンスを革新する理由

ポイント

  • Next.jsアプリのパフォーマンス改善を目指す開発者へ、既存Node.jsランタイムの限界と、それが現代のボトルネックとなる理由を解説します。
  • 新世代ランタイムBunが、Zig言語とJavaScriptCoreエンジンを採用し、抽象化レイヤーを削減することで圧倒的な高速化を実現する仕組みを詳説します。
  • BunがNode.js互換性と豊富なビルトイン機能でNext.jsアプリの起動・実行速度を革新し、開発体験を向上させる知見が得られます。

Next.jsアプリを限界突破!BunランタイムがWebパフォーマンスを革新する理由開発者の皆様、こんにちは。Next.jsは、WebpackやTurboPackによるバンドル最適化、画像・フォント最適化、そして効率的なサーバーサイドレンダリング(SSR)、静的サイトレンダリング(SSG)、増分静的再生成(ISR)、さらにはReact Server Components(RSC)によるデータフェッチのコンポーネント内統合など、数々の革新によってWebパフォーマンスの定義を塗り替えてきました。しかし、Next.jsのようなフレームワークがどれほど最適化を進めても、これまで手つかずのまま残されてきた根本的なレイヤーが一つ存在します。それが「ランタイム」です。Next.jsアプリは通常Node.js上で動作するため、その性能は最終的にNode.jsランタイムの能力に依存します。本記事では、Node.jsのこれまでの貢献と、現代におけるその限界を深く掘り下げます。そして、その限界を打ち破り、Next.jsアプリのパフォーマンスを新たな高みへと引き上げる次世代ランタイム「Bun」について詳しく解説します。## Node.jsの功績と現代におけるボトルネック### JavaScriptのサーバーサイド実行を可能にしたNode.js2009年に登場したNode.jsは、それまでブラウザ専用だったJavaScriptをサーバーサイドで実行可能にした画期的なランタイムです。これにより、開発者はフロントエンドとバックエンドで同じ言語を使用できるようになり、Web開発のあり方を大きく変えました。Node.jsは、以下の主要な要素で構成されています。* V8 JavaScriptエンジン: Google Chromeにも採用されている高速なJavaScriptエンジンです。JavaScriptコードの実行を担当します。* イベントループ: 非同期I/O処理を効率的に行うための仕組みです。これにより、単一スレッドで多数のリクエストを捌くことが可能になります。* 非同期I/Oと組み込みAPI: ファイル操作(fsモジュール)、HTTP通信(httpモジュール)、ネットワーク接続(netモジュール)など、ブラウザではできないOSレベルの操作を可能にするAPIを提供します。### Node.js内部の複雑なI/Oパスしかし、これらのNode.jsの組み込みAPIは、V8エンジンだけでは実現できません。V8はJavaScriptの実行に特化しており、ファイルを開いたりTCP接続を確立したりする機能は持ち合わせていないためです。そこでNode.jsは、libuvというCライブラリを内部で利用しています。libuvは、OS間の違いを吸収し、ファイルI/Oやネットワーク通信といった非同期操作をNode.jsから実行できるようにする抽象化レイヤーです。例えば、JavaScriptコードでfs.readFileを呼び出してファイルを読み込む際のプロセスは、次のような多層的な経路をたどります。1. JavaScriptコードからfs.readFileが呼ばれる2. V8 JavaScriptエンジンがJavaScriptコードを実行3. Node.js C++バインディングがNode.jsの組み込みAPIとlibuvを連携4. **libuv**がプラットフォーム固有のシステムコールを抽象化5. **オペレーティングシステム(OS)**へ実際のシステムコールが発行され、ファイルが読み込まれるこの一連のプロセスには、スレッドワークなどのオーバーヘッドも伴い、多くのレイヤーを通過するため、決して最適な設計とは言えません。### 現代のハードウェアとワークロードとのミスマッチNode.jsが誕生した2009年頃のハードウェア環境は、現在とは大きく異なりました。当時のサーバーは、限られた数のCPUコア(例: 4コア)、少ないメモリ、そして低速なストレージが一般的でした。また、新しいスレッドを接続ごとに生成することは高コストであり、スケーラビリティの問題がありました。Node.jsのシングルスレッド・イベントループモデルは、この時代の制約の中で、1つのスレッドで何千もの接続を効率的に処理できるため、非常に優れたソリューションでした。しかし、2025年の現代では状況が一変しています。CPUは数百コア、メモリはテラバイト級、ストレージは50倍も高速化しました。にもかかわらず、私たちは2009年設計のNode.jsモデルを使い続けており、依然としてすべての処理が同じイベントループを通過しています。Node.jsのアーキテクチャは、サーバーが数日間稼働し続けるような従来の用途には十分機能します。しかし、現代ではサーバーレス関数や開発サーバーのように、高速な起動と短時間の実行が求められる「短命なスクリプト」が増加しています。このような環境では、起動時のミリ秒単位の遅延やデータレイヤーのレイテンシが、アプリケーション全体のパフォーマンスに大きく影響します。Next.jsは、Node.jsランタイムの制約にもかかわらず、信じられないほどの最適化を達成してきました。しかし、開発サーバーの起動やファイルの再構築、ホットリロードといった場面では、依然としてランタイムの限界に直面します。真にアプリケーションを高速化するためには、フレームワークの改善だけでなく、その下にあるランタイムそのものを再考する必要があるのです。## Bunランタイムの登場とWebパフォーマンスの革新### 現代のハードウェアに最適化された新しいランタイムそこで登場するのが「Bun」です。Bunは、単にNode.jsのレイヤーの上に構築されたものではありません。2025年の現代ハードウェアに合わせて、ゼロから設計・構築された全く新しいJavaScriptランタイムです。Node.jsがC++とlibuvで構築されているのに対し、Bunは「Zig」というモダンなシステムプログラミング言語で開発されています。Zigは、よりハードウェアに近いレベルで動作し、効率的なシステムコールを可能にします。### 高速なJavaScriptエンジン「JavaScriptCore」Bunが採用しているJavaScriptエンジンは、Appleの「JavaScriptCore」です。このエンジンは、起動が非常に高速であるという特徴があります。特に、V8エンジンのような一部の初期化最適化を遅延させることで、開発サーバーやサーバーレス環境、ビルドスクリプトといった現代の短命なタスクに最適な性能を発揮します。### 抽象化レイヤーの削減による圧倒的な高速化Bunランタイムの核となる部分はZigで書かれており、非同期I/O処理もZigによって実装されています。Node.jsがファイル読み込みやネットワークリクエストといった非同期操作のためにlibuvという抽象化レイヤーを必要とするのに対し、BunはZigによってこれらの処理をOSへの直接的なシステムコールとして実装できます(ネットワークリクエストではsocketsを利用するなど一部違いはあります)。これにより、Node.jsの複雑なI/Oパスから多くの抽象化レイヤーが取り除かれます。例えば、Bunでファイルを読み込む際のプロセスは、次のようになります。1. JavaScriptコードからfs.readFileが呼ばれる2. JavaScriptCoreエンジンがJavaScriptコードを実行3. Zigで実装されたBunのランタイムが、直接OSへのシステムコールを発行これにより、JavaScriptコードとOSの間にあるレイヤーが大幅に削減され、起動速度、ファイルアクセス、HTTPサーバーの処理速度など、あらゆる面で体感できるほどの高速化が実現します。### Node.js互換性と「Batteries Included」のアプローチBunは、単なる高速なランタイムに留まりません。Node.jsの既存APIと100%互換性があることを目指しており、Next.jsを含むNode.jsエコシステムの大部分をBun上で実行できます。さらに、Bunは多くの便利な機能をランタイムに「ビルトイン」しています。例えば、S3、SQL、Redisのクライアント、ハッシュ関数、シェルコマンドの実行など、GoやPythonといった他のプログラミング言語ではお馴染みの「batteries included(電池付属)」アプローチを採用しています。JavaScript開発者は、パスワードハッシュのような頻繁に使う機能であっても、その都度依存関係をインストールすることが常でしたが、Bunはこの状況を変え、開発体験を大きく向上させます。## まとめNext.jsはWeb開発のパフォーマンスを大きく前進させましたが、ランタイムという最後の未踏領域が残されていました。Node.jsは過去15年以上にわたりJavaScriptランタイムのデファクトスタンダードとして貢献してきましたが、その設計は現代のハードウェアとワークロードに完全に最適化されているとは言えません。Bunは、Zig言語とJavaScriptCoreエンジンを採用し、そして多くの抽象化レイヤーを削減することで、現代のニーズに合わせた圧倒的な起動速度と実行性能を実現しました。Node.jsとの高い互換性と豊富なビルトインAPIにより、既存のNext.jsプロジェクトにも容易に導入でき、開発体験とアプリケーションのパフォーマンスを大幅に向上させる可能性を秘めています。ぜひBunを導入し、Next.jsアプリの新たなパフォーマンスを体験してみてはいかがでしょうか。### 参考動画https://www.youtube.com/watch?v=f--3aG0XfCw