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Postman Goes AI - Dustin Schau, Postman

再生時間

9分 30秒

Postmanの隠れた力:HTTPクライアントを超えたAI活用とエージェント開発を徹底解説

ポイント

  • PostmanはHTTPクライアントの枠を超え、AI活用、多様なプロトコルサポート、エージェント開発が可能な高機能ツールへと進化しました。
  • AIによるリクエストの自動修正(Agent Mode)や、あらゆるAIモデルのテストを可能にするAI Requestで開発プロセスを効率化できます。
  • Postman Flowsを使えば、Slack連携での業務自動化やAIによる情報要約など、視覚的にエージェントを構築・デプロイし、ワークフローを革新できます。

Postmanは多くの開発者にとって、APIのリクエスト送信やレスポンス確認に不可欠なHTTPクライアントとして認知されています。しかし、Postmanは過去10年間で大きく進化し、その機能はもはや単なるHTTPクライアントの枠に留まりません。多くのユーザーが抱く「10年前のPostman」というイメージとは異なり、現在ではAIとの連携、多様なプロトコルサポート、そして強力なエージェント構築・デプロイ機能まで提供されています。

本記事では、Postmanが提供する最新かつ革新的な機能に焦点を当て、特にAIを活用したエージェント機能や「Postman Flows」が、どのように開発者の日々のワークフローを効率化し、課題解決に貢献するのかを深掘りして解説します。Postmanの真価を再発見し、その隠れた力を最大限に活用するための情報をお届けします。

Postmanの基本機能の進化とAgent Mode

Postmanが長年にわたり多くの開発者に利用されてきたのは、その直感的なHTTPクライアントとしての使いやすさによるものでしょう。リクエストを送信し、200 OKのレスポンスを受け取るという一連の操作は、日々数百万人の開発者によって行われています。

しかし、開発の現場では、リクエストが404 Not Foundエラーとなるなど、予期せぬ問題に直面することも少なくありません。このようなフラストレーションを解消するため、PostmanはAgent Modeという新機能を導入しました。これは、AIを活用してUIを操作し、リクエストの問題を自動的に検出し、修正を提案してくれる画期的な機能です。例えば、リクエストがPOSTとして設定されているにもかかわらず、実際にはGETであるといった設定ミスをAIが特定し、ユーザーの承認(または自動実行)を経て、成功するリクエストへと導きます。この機能は、まるでAIアシスタントが開発者の作業をサポートしてくれるかのような体験を提供し、デバッグの時間を大幅に削減します。

さらに、PostmanはHTTP以外のプロトコルに対しても、業界トップクラスのサポートを提供しています。

GraphQLクライアント

美しく設計されたインスペクターを備えたPostmanのGraphQLクライアントは、複雑なクエリの構築とテストを容易にします。直感的なUIで、GraphQL APIの開発とデバッグを効率的に行えます。

gRPCクライアント

Postmanは、gRPCクライアントに関しても業界最高レベルの機能を提供しています。特にTypeScript AIコンファレンスでの「Hello World」デモのように、複雑なgRPCサービスのテストも簡単に行うことが可能です。

MCPクライアント

AIアプリケーションを構築する際、多くの場合、MCP(Message Passing Interface)が利用されます。PostmanのMCPクライアントは、MCPインスペクターの代替として非常に有用であり、より優れた開発体験を提供すると評価されています。

WebSocket、Socket.IO、MQTTなどのサポート

リアルタイム通信やIoTアプリケーション開発に不可欠なWebSocket、Socket.IO、MQTTといったプロトコルも、Postmanで一元的に管理し、テストすることが可能です。これにより、多様なアプリケーションのAPI開発とテストをPostman内で行えるようになります。

AI Request: あらゆるモデルでAIをテスト

Postmanの進化の中でも特に注目すべきは、AIモデルとの連携を可能にするAI Request機能です。これは、Masterチームの取り組みに触発されたもので、ローカルで動作するモデル、ホスト型モデル、Amazon Bedrock、Azureといった、あらゆる場所で利用可能なAIモデルをサポートします。

開発者はこの機能を利用して、任意のAIモデルに対し、テスト、ツールの追加、検証、デバッグを行うことができます。例えば、「TypeScriptについて、カウボーイ風の言葉でいくつかの事実を教えて」といったユニークなプロンプトを送信し、AIの応答を検証するといった使い方が可能です。これにより、AIモデルの統合やテストが格段に容易になり、AIを活用したアプリケーション開発が加速します。

Postman Flows: エージェント構築・デプロイの強力なツール

「Postmanがエージェント会議で何をしているのか?」と疑問に思う方もいるかもしれません。Postmanは、Postman Flowsという製品を通じて、エージェントの構築とデプロイのための強力なプラットフォームを提供しています。これは、OpenAIが2週間前に発表したAgent Kitと非常に類似したコンセプトの製品であり、Postmanは2年前に同様の製品をリリースしていました。この事実は、Postmanがエージェント技術の分野で先駆的な役割を担ってきたことを示しています。

Postman Flowsは、ビジュアルプログラミングのような形で、さまざまなAPI呼び出しやLLM(大規模言語モデル)の呼び出しを組み合わせることで、複雑な自動化ワークフロー、すなわち「エージェント」を簡単に構築できるツールです。以下に、その具体的な活用事例を紹介します。

事例1: Slack連携による社内自動化エージェント

筆者自身が開発したエージェントは、SlackのWebhookと絵文字をトリガーとして、チーム内の退屈な作業を自動化するものです。

  • Jiraチケット作成の自動化: Slackで特定の「チケット」絵文字を使用すると、Postman FlowsがWebhookを介して起動し、Jiraのバックログに新しいチケットを自動的に作成します。これにより、手動でのチケット作成作業を削減し、迅速な課題管理を支援します。
  • オンコールチームへのページング: 同様に、Slackで「サイレン」絵文字を使用すると、Postman Flowsがオンコールチームにアラートを送信し、緊急事態への迅速な対応を可能にします。例えば、「OMG本番環境がダウンした!」というメッセージにサイレン絵文字を付けるだけで、関係チームへの通知とエスカレーションが自動的に行われます。

これらの例は、Postman Flowsがいかに日常業務の自動化と効率化に貢献できるかを示しています。

事例2: オープンソース課題追跡エージェント「ERA」

Postman社内では、さまざまなタスクを自動化し、迅速なインサイトを得るために多くのエージェントが構築されています。その一つが、Postmanの活発なオープンソースプロジェクトの課題トラッカーを管理するエージェント「ERA」です。

Postmanのオープンソースプロジェクトには、3,000件以上の課題(issue)が登録されており、その膨大な情報の中から有益な信号を見つけ出すことは困難です。ERAは、この課題を解決するために設計されました。

ERAのワークフローは以下の通りです。

  1. リクエストの受信と認証: まず、Slackからリクエストを受信し、Slackとの認証を行います。
  2. 課題データの取得とDBへの格納: 確立されたコンテキストを利用して、すべての課題データをデータベースに取得します。
  3. AIによる評価と要約: 取得した課題データに対し、AI、特にChatGPTモデルを利用して評価と要約を行います。「最近の10件のissueを見せて」といったクエリに対し、AIが回答を見つけ出し、評価し、要約して提示します。

ERAはPostman Flowsで構築されており、より洗練されたUIと機能を提供します。これにより、膨大な量のissueの中から、開発者が本当に知りたい情報を迅速かつ的確に抽出することが可能になります。例えば、「最近作成された10件のissueを要約してください」と依頼すれば、ERAは各issueの内容を把握し、簡潔にまとめた情報を提供します。これは、オープンソースプロジェクトのメンテナンスやコントリビューションにおいて非常に強力なツールとなります。

まとめ

本記事では、Postmanが単なるHTTPクライアントに留まらず、過去10年間でいかに多機能な開発ツールへと進化してきたかをご紹介しました。AIを活用したAgent Modeによるリクエスト修正、GraphQLやgRPCといった多様なプロトコルサポート、そしてAI RequestによるあらゆるLLMモデルのテスト機能は、開発者の生産性を飛躍的に向上させます。

さらに、Postman Flowsは、社内自動化から複雑なデータ分析エージェントまで、ノーコードに近い形でエージェントを構築・デプロイできる強力なプラットフォームです。Slackとの連携によるJiraチケット作成やオンコールページング、さらにはオープンソースの課題をAIで要約するERAエージェントの事例は、その無限の可能性を示しています。

PostmanをまだHTTPクライアントとしてしか利用していない開発者の皆様には、ぜひ今回ご紹介した新しい機能、特にAIやエージェント関連の機能を試していただき、その真価を体験していただきたいと思います。日々の開発業務における大きな変革をもたらすかもしれません。

参考動画 https://www.youtube.com/watch?v=G92LF0IwBrI